ANSER BOOK

その答え本にあり

先延ばしのメリットについて

 

 

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普段、仕事していると先延ばししたくなるような案件が必ずあります。特にプロジェクトが大きければ、なおさらのことです。そのプレッシャーから現実逃避するも、依然としてプレッシャーはかかったままでモヤモヤします。先延ばしすることは悪いことばかりなのか?という疑問を抱きつつ『先延ばし思考』という本を読んでみた。著者はスタンフォード大学の哲学教授。本書で「先延ばしには意義がある」と提唱している。(ちなみに本書の第1章エッセイで2011年イグノーベル文学賞を受賞)。さて、本題のアンサーとなるのか以下に本書の要約と感想をまとめてみました。

 

 

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<要約>

◉なぜ仕事を先延ばししたくなるのか?
そもそもなぜ私のように先延ばししたくなるのか。その根本的な原因は、仕事に対し、   自らが完璧な仕上がり(100点)を求めている傾向があるため。
そして完璧さを目指すあまり、プレッシャーがかかり罪悪感や悩みが生じる。
その結果、仕事に手がつかないという事態が生じている。


◉仕事は完璧でなくていいという考え方が大切
そもそも物事はそう完璧にできない。また完璧にするには時間がかかるということを予め理解しておかなければならない。


◉先延ばしのメリットとは?
「物事はそう完璧にできない」と思うだけで、余計なプレッシャーが取り除かれ、いますぐ仕事に取り掛かることができる(これが「先延ばし思考」)。そして大事なことは「A」という結果だが、目の前の(Aの要素の)仕事「B、C、D…」などを片付けているうちに「A」が解決することがあるという。さらに余計なプレッシャーがなくなることで、自己肯定感が高まり、新たな発想(α)が生まれ、「A」+α→「A'」となる思わぬ副産物が期待できる。

 

<感想>
本書で述べているのは、先延ばしすること自体にメリットがあるというわけではなく、先延ばし思考によるメリットがあるということ。重要なことは、いま抱えている仕事は「完璧(100点)を目指す必要性があるのか?」と自問すると、たいていは完璧でなくても問題ないということだ。

確かにそうかもしれない。私ごとで恐縮ではあるが、自らの仕事の経験に置き換えてみると、結果的に完璧だったというだけで、上司にせよクライアントにせよ、そこまで期待していなかったことが多かったように思える。そんなこと(完璧さ)に労力を注ぐより、他のことに時間を使った方がより多くのことがこなせたはずだ。

また、本書で他に参考になったことは「自分が得意でない分野の仕事は、得意な人(それが好きな人)に頼めば、その人が興味があることなので自ずと解決する」という点。多少、他力本願的なところもあるが、それよりも自分の得意ジャンルに全力を尽くしたほうが質の高い仕事ができるのではないだろうか。

 

<教訓>
例えばの話だが、巨大な大理石から「ダビデ像のようにかっこいい彫刻を掘ってくれ!」と仕事の依頼がきたとしよう。いままでの私であれば、それを聞いてプレッシャーのあまり、ノミさえ持たないだろう。しかし、そんな時は、まずは人とわかるカタチまで掘れれば十分だと思うことにしよう。ダビデ像とまではいかないでも、意外にも「案外イケるかも」と思えるデザインが生まれるかもしれない。それに細かい所は、手先の器用な人(かつ興味のある人)に頼めば完璧でなくても、それなりのものができるかもしれない。

ただし、こんな依頼はこないと思うけど(笑)